ちょっと斜めな“おとぎ話”(短編)
『白馬の王子』

「ねぇねぇ、ママー、このご本読んでぇ」



小さな女の子が、大きな絵本を抱えてトコトコと歩いて来た。



「はいはい」



お母さんはニッコリ笑って女の子を膝に乗せた。



絵本の題名は『白馬の王子』。

女の子の大のお気に入りである。

魔王にさらわれたお姫様を助けに行く王子様の話である。



「昔々、ある王国には……」



「むかちむかち…………」



お母さんの言葉と一緒に女の子も可愛い声を上げた。

< 2 / 8 >

この作品をシェア

pagetop