先輩上司と秘密の部屋で
「おにーちゃん!!」
矢のような勢いでサニタリールームを飛び出した杏奈は、隼人の部屋のドアをノックすることなく開け放つ。
そしてベッドで微睡んでいる隼人に近づくと、すごい勢いでその身体を揺さぶっていた。
「あれ……杏奈。 また添い寝してくれるの」
「ちょ、違……!」
腰に回ってきた手が杏奈の動きを阻み、そのままシーツの上に引きずり込もうとする。
「んー……じゃあ会社休んで二度寝しようか」
「バカなこと言わないでっ。もう、いい加減にして」
しつこい腕をなんとか身体から引き剥がすと、杏奈は目を眇めながら隼人のことを睨みつけていた。
「なんで黒谷先輩がうちに住んでるの? どういうこと!?」
「あれ、……言ってなかったっけ」
「聞いてないよ!」
あまりにもあっけらかんとしている隼人の様子に、杏奈は気が滅入りそうになる。
どうして勝手なことばかりするのだと、泣きながら叱り飛ばしたいくらいだった。
「嵐士は俺の親友だし、一緒に住んでも構わないよね?」