ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


外に出ると、すぐに離された手。

さっき胸に抱かれた時もそうだったけど、並木さんが離れた途端に感じるこの寂しさは一体何だろうか。


並木さんは私からほんの少し離れると、ポケットから煙草を取り出して火をつけた。

舞い上がる白い煙。

並木さんが煙草を咥える姿は絵になる。
長くて骨張った指にさえ、色気を感じてしまう。


「…で?」


上を向いて煙を吐く並木さんは、身体ごとそっぽを向いて、さっきから私を見ようとしない。

やっぱり、避けられてるのかも…

実際に態度で示されると辛い。


「…謝りに来ました」


少し声が震える。

謝ることがこんなに怖くて、勇気がいることなんて知らなかった。


「並木さんの言った通りでした。あの時、私動揺しちゃって全然冷静じゃなかった。並木さんにも失礼なことを言いました。ごめんなさい…」


いくら言い方が悪かったとはいえ、並木さんの言うことは正しかった。

なのに私は少しも聞こうとしないで…
無知で我が儘で、駄々をこねる子供と一緒。



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