ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


「驚いた?」


誰もいない体育館裏に着くと、先輩は自分と私が持ってる折り畳み椅子を体育館の外壁に立て掛けながら言った。


「驚きましたよ。来るならこの前電話した時にでも教えてくれれば良かったのに」

「ごめん、ごめん。恵里奈ちゃんの驚いた顔見たくてさ」

「もう!悪趣味ですよ?」


驚いた顔が見たいだなんて。
悪趣味だし、やっぱり先輩は意地悪だよ。


「でも、俺はちゃんとヒント出してたけど?」

「ヒント?」

「この前、電話で聞いたろ?日曜日は練習だよな?って」

「あっ‼︎そういえば…」


電話を切る間際、そんな事を言ってたような気がする。
あの後、並木さんの意外な本性に驚き過ぎて頭から抜けてたけど。

確かあの時、先輩が少し笑ったような妙な違和感があったんだよね。

あれが今日のことなら、あんなこと聞いてきたのも少し笑ったのも頷ける。


「それにしても、俺の想像以上に驚いてたね。これでもかってぐらい目丸くしてほけーっとして」



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