ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


「でも、帰って来た時の恵里奈、ニヤけたいのを必死に我慢してるって顔してたんだよな」


怪しんだ眼差しを向けてくる瀬奈に、必死で平然な顔を作る。
必死になって顔を作らないと、瀬奈には見透かされてしまうから。

だけど内心は焦りでいっぱいで、気を抜くとすぐ顔に出てしまいそう。


「ねぇ、ご飯食べて帰らない?」

「ごめん。私、今日は早く帰らないといけなくて」


今日はこれから先輩とデートの約束をしてる。

学校の最寄り駅から二駅目の私の地元の公園で待ち合わせをしていて、先輩はとっくに学校を出ただろうから、私も早く行かないといけない。


「そっか、残念。何にもなかったにせよ、嬉しそうにしてた恵里奈の心境を聞きたかったんだけど、またの機会にするわ」


嘘をついてる罪悪感は凄くある。

だけど、今の私には背徳感なんてものはとっくに頭の中から消え失せていた。

それよりも先輩に早く会いたくて、瀬奈とは部室で別れ走って駅に向かった。


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