人見知りのキリスト
ようやく電車が通過し、遮断棒が上がった。


歩き出そうとした少年の手を俺はグイッと引っ張った。



「澄人、夢から覚める時間だ」



あるひとつの計略――。


それは天使のささやきか、
それとも悪魔の忍び笑いか。


俺にはどちらとも判じかねた。
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