人見知りのキリスト
腕を組んだ十代・二十代の若いカップル、子供連れの夫婦、嬌声を上げる茶髪の女子高生、中にはヤケクソ気味にはしゃいでいる中年サラリーマンご一行の姿もあったが、総じて皆、イブを楽しんでいるようだ。


オードリーに教えてもらった住所は表参道のわき道を入ったあたりだった。


メインストリートとは打って変わり、一帯は静謐に包まれている。


住所を記したメモ書きを頼りに、夜の帳が落ちた住宅街を足早に進んだ。



――確か、このあたりのはずだが……。



初めてTOKYOを訪れた外国人観光客のごとく彷徨した末、ようやく件の建物を発見した。


慎ましやかに電飾を灯した一軒家のレストランが闇夜にそびえ立っている。


イブの日のお見合いパーティーに相応しい、実にエレガントな佇まいの洋館だ。
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