あなたがいなければ。【短編小説】


「お父様!何か隠しているのでしょう!?教えて下さい!」
「…」
「お願いします!」
「…」
「教えて下さらないなら…」

私は携帯を出して、ある場所に連絡する。

「どこに連絡しているんだ!」

そう言って私の携帯を取り上げて、電源を切る。

「警察です。私はお兄様を殺そうとした。立派な殺人未遂です。自首すれば、それ相応のバツは与えられるはずです。もう高校生ですし…。バツが与えられなくとも、新聞には載るでしょう。」
「そんな事をしたら…」
「はい。そうです。間違いなく、神崎グループは無くなるでしょう。」
「…。」
「一面を飾るのは、“神崎グループの娘、まさかの殺人未遂!”…こんな感じですかね。もっと有名になれますよ。なにしろ新聞ですから。」
「…」
「携帯を返して下さい。」

今私はすっごく恐ろしいことをしていると思う。

だって、あの神崎グループの当主をほぼ脅している状態なのだから…。

だけど…

「わかった。」
「えっ!?」
「全て話そう。」
「本当ですか!?」
「あぁ。」
「ありがとうございます!」
「ただし、智彦も一緒だ。」

そう…だよね。
だったら、

「高垣晃も一緒なら。」
「わかった。良いだろう。一時間後。皆で食事をしながら話そう。」
「はい。分かりました。」
「行って良い。」
「お父様!ありがとうございます!」
「あぁ。」
「では!失礼します。」
「この私が遂に負けてしまったか…。」
「何か言いましたか?」
「いや。何も…。では一時間後。」
「はい。」

私には、お父様の声は聞こえなかった。















ついに…







お父様に勝ってしまった。

いや。わざと負けてくれたのかもしれない。
それでも良い。

一時間後かぁ。

みんな集まるんだよね…。


パンッパンッ

勢い良く頬を叩く。
「頑張らなきゃ!」



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