にじいろどろっぷす。
2粒目 そらいろどろっぷ。
入学式から幾日か経ち、今日は待ちに待ったクラス紹介だ。期待と不安を滲ませた新入生を含めた全校生徒は、一斉に体育館へ移動していた。

『ふー、ついにこの日が来た。でも、あの後先輩大丈夫だったのかな?』

それもその筈。あの後、先生に声を掛けられ帰ろうとしたものの、私は、早く帰るように言われてしまい。先輩は先生に襟を掴まれ捕まっていたからだ。なので、結局彼がどうなったかなんて知るはずもなく。

『何か、1回気になりだすと…』

「どうかした?」

『いや、この間の入学式の後で出会った人なんだけど』


あれ、ちょっと待って。何か聞き覚えある、この声。ふと、顔に影が差した。顔を上げてみるとあの時の先輩が。

『うわっ、』

「うわ、とか酷くね?俺、命の恩人よ?」

『命の恩人?それは大げさすぎじゃないかな』


ひくりと口元が引きつる。へらりと笑いながら現れたのは入学式の時にいっとき騒がせたあの先輩で間違いないようだ。なぜ曖昧か、って?そりゃ、今日はピアスしてない代わりにかみをサイドに寄せて固めているから、一瞬誰だか分からなかったのだ。髪いじるのも禁止なんじゃ…。


「ほら、早く集まらねえとかえって目立つよ?」


先輩が指を指した方向を見れば、既に列らしきものが整形されていて。


『あ、やば。とにかく、失礼します!』


慌ててその場を後にして、列に紛れ込んだ。とは言っても一番後ろだけど。ほら、私大きいし。がやがやとしていた室内も時間が経つにつれ少なくなってゆき、やがてしんと静まり返った。
それを合図に、教壇に上がっていた校長はゆっくりと口を開いた。
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