2人のユウト




 水門くんの周りにいた女の子たちは、多分初めから水門くんの顔にしか興味がなかったんだ。


 水門くんはそれに気が付かず、いつも通り接した。


 それが普通、当たり前の行動。


 水門くんが天然でも、天然じゃなくても。





 口下手だと言っていた水門くん。


 中学時代から、それは続いていたのだろう。



 だから、頷くことしか、出来なかった。



 でもそれが、水門くんが今まで普通に行い続けてきたコミュニケーションの方法。



 それを女の子たちは気に入らなかったんだ。



 水門くんを、顔だけの人間だと見ていた女の子たちは、それを受け止めることが出来なかったんだ。



 だから知らず知らずのうちに、水門くんを傷つけていたんだ。


 水門くんの優しさも知らずに。






 そんなの、ひどすぎるって・・・。



 水門くんの気持ちも考えずに・・・。






 人って、身勝手に言うから、怖いよね。






< 166 / 368 >

この作品をシェア

pagetop