2人のユウト




 私は急いで部屋へ戻り、本棚の中から【探偵ユマ】を取り出し、ずっと待っていた雰囲気を作った。



 ガチャっと扉が開いて、水門くんが入ってくる。


 少し顔が赤いのは、緊張していたのかな?


 ふふ、可愛いなぁ。



「あれ?遅かったね水門くん」



 あくまでも私はずっと部屋にいたの。


 だから、平然を装う。




 ・・・なのに。



「・・・クスッ」



 水門くんは、何故か吹き出した。



「へ?何何どうしたの?」



「いや・・・。
日下さん、演技が下手だなぁって思いまして」



 演技が下手!?



「バレバレでしたよ?
僕と日下さんのご両親が話している所を、あなたが立ち聞きしていたの」


 え!?


 そうだったの!?




 気が付かなかったよ・・・。





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