私が恋した男(旧題:ナツコイ~海男と都会男~)
「どうしよう、全然原稿が出来上がらない……」
原稿を入力するスピードは明らかに遅く、下手したらここで徹夜で過ごしちゃうかもしれない。
するとフロアのドアが開いて姫川編集長が入ってきて、私の隣にドカッと座った。
「書けたか?」
「それがまだ…、」
「ふーん」
ふーんって!こっちは散々書き直しをさせられてるのに、そんな風に言われるとハラワタが煮えくりかえそうなる。
「見せてみろ」
「あっ…」
すると私の側に姫川編集長は体を寄せてパソコンの画面を覗くんだけど、その距離がとても近い。
私の腕にあとちょっとで姫川編集長の日焼けした腕が触れそうになるけど、姫川編集長はこの距離に気づいてないし、私1人で勝手にドキドキしてる。
「今日取材した定食屋の情報量が多すぎるから、ここの部分は削れ。他は、この部分を継ぎ足してみろ」
「この部分ですか?」
「そうだ」
私は気を取り直して姫川編集長の指示通りに書き直していくと"街"とお店の情報のバランスがよくなっていて、今まで自分が書いた原稿よりも格段と読みやすくなり、自分の力量の小ささを感じて凹んでしまう。
「全然違う…」
「今日はこの辺までだな、お疲れさん。あがっていいぞ」
「はい、お疲れさまでした」
私はパソコンの電源を落として姫川編集長に挨拶し、フロアを出ていく。
今日一日で疲れが溜まっていたのか階段を降りる足取りは重たくて、更に原稿がこんなにも進まなかったのがショックだった。
「今まで何してたんだろ」
雑誌の編集者になって5年は過ぎていたのに、何の力にもなっていない。
本当にタウン情報部でやっていけるか不安だし、こんな力のない私をどうして姫川編集長は受け入れたんだろう。
自分が住むアパートに戻ってもその不安が残っていて、なかなか寝付くことが出来なかった。
原稿を入力するスピードは明らかに遅く、下手したらここで徹夜で過ごしちゃうかもしれない。
するとフロアのドアが開いて姫川編集長が入ってきて、私の隣にドカッと座った。
「書けたか?」
「それがまだ…、」
「ふーん」
ふーんって!こっちは散々書き直しをさせられてるのに、そんな風に言われるとハラワタが煮えくりかえそうなる。
「見せてみろ」
「あっ…」
すると私の側に姫川編集長は体を寄せてパソコンの画面を覗くんだけど、その距離がとても近い。
私の腕にあとちょっとで姫川編集長の日焼けした腕が触れそうになるけど、姫川編集長はこの距離に気づいてないし、私1人で勝手にドキドキしてる。
「今日取材した定食屋の情報量が多すぎるから、ここの部分は削れ。他は、この部分を継ぎ足してみろ」
「この部分ですか?」
「そうだ」
私は気を取り直して姫川編集長の指示通りに書き直していくと"街"とお店の情報のバランスがよくなっていて、今まで自分が書いた原稿よりも格段と読みやすくなり、自分の力量の小ささを感じて凹んでしまう。
「全然違う…」
「今日はこの辺までだな、お疲れさん。あがっていいぞ」
「はい、お疲れさまでした」
私はパソコンの電源を落として姫川編集長に挨拶し、フロアを出ていく。
今日一日で疲れが溜まっていたのか階段を降りる足取りは重たくて、更に原稿がこんなにも進まなかったのがショックだった。
「今まで何してたんだろ」
雑誌の編集者になって5年は過ぎていたのに、何の力にもなっていない。
本当にタウン情報部でやっていけるか不安だし、こんな力のない私をどうして姫川編集長は受け入れたんだろう。
自分が住むアパートに戻ってもその不安が残っていて、なかなか寝付くことが出来なかった。