私が恋した男(旧題:ナツコイ~海男と都会男~)
「私ってまだまだですね。帰ってお風呂に入って、リフレッシュをしてきます」
「うん、そうするのもいいね。俺も季刊が終わったら、温泉でリフレッシュをしようかな」
「お土産、期待してもいいですか?」
「いいよ。ほら、帰って休みな?」
「はい、お先に失礼します」
「うん、お疲れ」

 水瀬編集長に見送られ、私は四つ葉出版社を出て行った。

 藍山駅に到着して、ホームに来た電車に乗り込み、ドアに身体を預けて外の景色を観る。

 終電ギリギリに乗るとビルの灯りや外灯がちらほらあるだけで、今は沢山の灯りか灯っていた。

「早く帰れたのは、いつぶりだろ」

 今まで『Focus』を作るスケジュールだけだったから、季刊と並行するのがこんなにもキツイものだとは思わなかった。

 疲れてもやりきることは大切かなと思っていたけど、少しは自分の状態を把握して原稿を進めなくては。

入社して5年は過ぎているけど、まだまだ進歩してないなぁ、反省、反省。

自分の部屋について、早速お風呂に浸かる。

「あぁ〜、生き返る〜」

とても疲れがあったのか、湯船に浸かった瞬間、身体の緊張が一気に解き放たれ、お風呂場の中で声が響く。

シャワーで身体を洗い、綺麗サッパリして、脱衣所でルームウェアに着替えて、ベットに横になった。

「これ以上、何もしたくない」

ご飯も食べなくちゃと思うけど、疲れが食欲よりも上回り、このまま寝ちゃおうっと。

瞼を閉じると姫川編集長の笑顔が浮かび、暗闇に切り替わった。

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