俺の妹が可愛すぎて。


「……ん?……キミは?えっと、芝野(しばの)高のマネージャーの子?」

「…あ、はいっ!芝野高校一年の鈴乃 麻依(すずの まい)と言います。あ、あの……」


彼女は両手でギュッと体操着のハーフパンツを掴んで、緊張しているようだ。

なんだか言いにくそうにモジモジしている。


「……何か用?」


モジモジしている彼女に痺れを切らした透子が、そう冷たく訊く。


そんな透子に怯えてしまったのか、ビクッとなった彼女が慌てて言った言葉に俺と透子、そして近くにいた優花と晴は言葉を失い、呆然としてしまった。



「あ、あのっ……!


9番のユニフォーム着ていた部員の方、いますかっ……?!」



9番って………



…………風馬。



「……おい、風馬!来客だぞ」


ベンチの隅の方でまだ突っ伏したままの風馬を呼んだ。


「……へ?なに?」


疲れてまだボンヤリとした目をした風馬はトボトボ歩きながら俺らの方へと近づくと、見知らぬ女の子がいるのに気づいた風馬は、なんだか気まずそうにしている。

風馬は少し人見知りだから仕方ない。


風馬が近づくと、彼女の頬はだんだんと赤くなる。


ははぁ〜ん……

……風馬に惚れましたな。


なんとなく、雰囲気が読めた俺は風馬に「じゃ、頑張って(笑)」と肩をバンと叩いて、透子達にその場を離れるように促した。


「は?!どういうこと?!意味わかんねぇって!」


見知らぬ女の子といきなり二人きりにされそうで焦る風馬に怪しい笑みで微笑みかけて、俺らはその場を離れた。


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