俺の妹が可愛すぎて。


だから前に俺が透子に母さんの再婚話をしていなかった時、透子が珍しく感情を露わにした時は驚いた。

泣いたのなんて、俺らが小さい時以来見ていなかったし、透子があんなにも超えを荒げることなんてなかったから。


「……透子?」


いつまでも黙り込くって俯いたままの透子。

具合も悪くないと言う透子に何か気に障ることでもしてしまったのではないかと心配になり、俺は透子に近づく。


すると、透子は近づいた俺を見上げていつになく真剣な表情になる。


何か怒られてしまうのではと身構える俺に、透子が発した言葉は想像すらしていない意外なものだった。



「ねぇ………ユキ」

「……ん?」

「………あたしがもし……

ユキのことが……好きだって言ったらどうする?」



遊園地なんてザワザワとうるさいはずなのに、その透子の言葉で一瞬にして音がなくなってしまったように感じた。


「………え?」


聞こえていなかったわけじゃない。

ただ……

どういう意味で、どういう思いで透子が俺にそう訊くのかが訊きたかった。


だって透子の目を見れば、それは冗談で俺をからかって言っているんじゃないってことはわかったから。



「………あたし……

……ユキのことが好き」



疑問符が混ざっていた透子の言葉は、確信へと変わった。


目を見て真剣に言う透子に、俺も目を反らせずにいた。






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