俺の妹が可愛すぎて。


ハッと目を開けると信じられない光景であたしはこんな狭い密室の中で、


「きゃあ〜!!」


音量なんか関係なく叫んでしまった。


案の定、松丘くんはビックリして倒れこんでいたが、そんな松丘くんなんかどうでもよかった。


だって………


あたしの両肩に手をおいて、目を閉じ、口を尖らせてる松丘くんが目の前にいたのだから。



「…えっ…?!あ、優花ちゃん!泣かないで!」


こんなとこで泣くつもりなんかなかった。

でも、堪えることが出来なかった。


「ごめん!優花ちゃん!」


松丘くんはあたしの手をとって、必死に謝る。

だけど、あたしはその松丘くんの手を振りほどいた。

早くこの空間から出たくて出たく仕方なかった。


だって……手を握ってほしいのは、


ーーー松丘くんじゃない。


「……優花ちゃん」

「………そっとしといて」

「……優花ちゃん………。

……ごめん……優花ちゃんが目閉じてたから…思わず……」


そう言い訳をする松丘くんが嫌だった。

どうして?

あたしのせいにするの……?


「………どういうこと?……恋人じゃないのに……こういうこと…しないでほしい」

「………ごめん。……じゃあ、一つだけ訊いてもいい?」



観覧車は特別な場所。

そんなことを、夢見てたあたしはバカだったのかな……。


「………ユキとの間接キスは……

……嫌じゃなかったの…?」


想像すら出来なかった質問に、あたしの涙はピタリと止まった。


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