俺の妹が可愛すぎて。


「……あ、とれた」

「…ほんと?」


明るく笑顔になる優花。


俺はペンダントトップを握りしめたままの優花の手に触れた。

少しだけピクンとなった優花が至近距離で俺を見上げる。


「……そんな、大事…?…これ」


人差し指で、優花の手に包まれたペンダントトップを手の甲越しに指を差す。


すると、優花は笑顔で俺の目を見て答える。


「……うん……。…とっても、大事」



こんなネックレス、どこにでも売ってるようなものなのに……

お守りと思って大事にしてくれている優花が素直に嬉しくて、

そのネックレスで成宮とケンカしてしまったくせに笑って、俺にそう答える優花が愛しくてたまらない。


「………よかった」


そう微笑みながら、今度は優花の手をそっと包んだ。


その瞬間、優花の後ろの電柱の影から何かが視界に入る。


目を細めて見ると、風馬が電柱の影に隠れてこちらをニンマリ笑顔で見つめていた。


「……てんめぇ、何覗いてんだよ!」


そう言うと、風馬は「わわわぁ〜!」と慌てて逃げて行くから、俺はそれを追いかける。


「来いっつったのはユキだろっ?!」

「影から覗き見しろなんて言ってねぇし!」


鬼ごっこみたいに、風馬を追いかけ回していた。


後ろのほうからは優花の笑い声が聞こえて、

こんな風に三人で笑い合うのも久々だと思ったら、なんかすっげぇ幸せな気持ちになった。



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