俺の妹が可愛すぎて。


「…なに。なんか、透子怒ってね?」


ブスくれながら訊く透子の顔を覗き込むと、透子の顔が一瞬赤くなり、プイッと後ろを向く。


「…ちゃんと質問に答えてよ。」

「…だから、彼女じゃないって。ってか、そんなん透子に関係なくね?」

「……ヒドイよ、ユキ。」


そうなんだか寂しそうに呟くと、透子はどこかへ走っていった。


なんだよ、アイツ……。


走っていった透子の後ろ姿を呆然と見つめていると、


「…『ヒドイよ、ユキ。』」


さっき透子が言ったセリフを透子口調で、晴が俺に呟いた。


「わぁ!!びっくりした…。いつからいたんだよ、お前…。」

「数分前から。俺もスパイクの靴紐切れちゃって。」


そう言うと晴は俺の横にヨイショと腰を降ろす。

晴には、昼休みに優花のことはちゃんと説明して、誤解をとき、一応仲直り。


いや、別に悪いことしてるんじゃないから誤解でもなんでもないし、

別にケンカもしてないから、仲直りでもなんでもないんだけど…。


「ちゃんと、透子にも説明してやれよ。寂しがってんじゃん。幼馴染なのにぃ。」

「説明したじゃん、今。」

「ちゃんとだよ。ってか、もっと早く説明というか…そういうこと話してほしかったんじゃん?透子は。」

「……なんで?」

「なんでって…。それ、俺の口から言わす〜?」


晴は朝の俺みたいに、イジワルな顔をして俺の肩を小突く。


透子がなんで怒ってんのかもわかんないし、晴が透子のことを何でもわかってるように話してんのもわからない。


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