俺の妹が可愛すぎて。


「……本当かっ?!」

「……ユキが会いたくないって言ったらダメよ?」


そうイジワルに母さんが笑うと、父さんは苦笑いする。


「……ユキも。……お父さんに会いたくなったら会ってもいいのよ?……今まで…お父さんに会えなかったんだから。……ごめんね……辛い思いさせて」


母さんがそう悲しそうに笑うから、俺は首を横に振って応えた。


「ううん…。……俺……母さんと父さんの息子で良かったよ。……今、すっげぇ幸せかも」


照れ臭くなってそう笑うと、母さんは「ユキ〜!大好きっ!優花ちゃんに渡したくないくらいっ!」って抱きついてくる。


「もう!酔ってもねぇのに、抱きつくなよ!」


抱きつく母さんと嫌がる俺の姿を見て、父さんも笑っていた。


家族三人で笑い合うことも初めてで…


本当に幸せかもしんないって今を噛み締めていた。










* * *


「……お父さん、なんか老けてたわねぇ。最初会ったとき、誰かと思っちゃった」



喫茶店から家までの帰り道。

さっきまで深刻な話してたかと思ったら、父さんと別れた途端急にそんなこと言い出す母さんにプッと笑いが漏れた。



「……なにそれ(笑)父さんも歳とってるってことは、母さんだって歳とってんだよ?……アラフォーじゃん」


そう言ってやると、案の定歳のことを言われた母さんはプクッと膨れた。



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