俺の妹が可愛すぎて。


五月の今日は、球技大会。


五月といっても日差しは暑くて、外で立ってるだけでも汗が出る。でも、時より吹き込む風が心地よい。


「女子はバレーで体育館、男子はサッカーでグラウンドか…。くっそー……優花ちゃんの体操着姿見たかったのに〜っ!」

「体育ん時に嫌というほど、見てんだろ?」

「体育の授業は1時間しかないけど、球技大会は3、4時間はあるんだぜ?そんな長い時間、体操着姿見れたら俺、夢みたい…」

「………晴、エロい。」


晴と持田のそんなやり取りを、グラウンドで試合中の他クラスを見ながら、ぼんやり訊いていた。


俺のクラスは割と運動部が多くて、午前中の今で、もうすでに二回戦も突破し、次は準々決勝。

トーナメント制だから、こういう待ち時間が多くて、若干退屈。



「……あれ、向こうの一番端っこでやってんのって一年だよな?」


体操着姿の優花で頭がいっぱいになってる晴は無視して、持田に話しかけた。


「そうじゃない?あぁ、弟くん?」

「うん。サッカーやってるとこ、見てみたいんだけど……風馬のクラスもう試合終わっちゃったかな〜」

「そっか、中学ではサッカー部だったんだよな?高校では部活入らないのかな?」

「……う〜ん……わかんね。こればっかりは本人の意思だから、無理に誘えねぇしなぁ」


あれから風馬とは少しづつではあるけど、普通に会話が出来るようになった。

ちゃんと目を見て話してくれるし、軽い言い合いだってする。


俺としてはかなり嬉しい進歩だし、何より風馬が不良になってなくてほんっとよかったと安堵するばかりだった。


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