あなたが作るおいしいごはん【完】

恭君…薮嶋さんは

『…どうしたんだよ。
そんなにムキになって…。
しかも、急に
俺の事薮嶋さんに変わってるし…。』

と、困惑したような顔になった後

『…俺は…別に…そんなつもりじゃ。
結婚の話とか
オフクロが言い過ぎた事や
教室の受講を勧められていたのは
事実だから…それが気に障ったのは
本当に悪かったと思ってるけど
料理に興味あるのは本当だし
俺は押谷先生の事を馬鹿にしているとか
そんなつもりは全然ないから!!』

と、語気を強めた。

でも、すぐに

ハッとしたような表情になると

『…まさか、萌絵ちゃん…。
あの先生の事が…好きなのか?
婚約者ってまさか…あの先生とか!?』

と、私をジッと見ながら聞いてきた。

その時にちょうど

バスがこちらに向かって走ってきた。

『…ねえ、萌絵ちゃんどうなの!?』

詰め寄るように

返答を求める薮嶋さんに

「…私は……私は
押谷和亮先生を尊敬してます!!
…ちなみにもう…ここには来れません。
でも…私は
寛子さんに再会出来た事嬉しかった。」

そう言うにとどめると

『…ちょっ…萌絵ちゃん!!』

薮嶋さんが何か言おうとしていたのを

振り返る事なくバスに乗り込んだ。




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