神楽弥戦記~黎明の旅
「神楽弥様、嵯那王様がお呼びです」  臣下が慌て藁屋に駆け込んできた
「父上が?何の話であろうか?」
ふと考えながら藁屋(わらずや(竪穴式住居)を出て大屋根に向かった。(大屋根 竪穴式住居を大きくした族長の屋敷)
「神楽弥入ります。父上お話とは、何でしょうか」  真剣な表情で嵯那王をみた
「火の神様と霧島の神様が睨み合っている。今度の戦は、激しくなるかもしれん」
実は、火の神と霧島の神はよく戦を始める位、不仲なのである。
「炎國の民を船で退避させるにも、隼人族が炎族を入れさせんだろう。 神楽弥お前は民と大隅の方が岸から近いから大隅へ逃げろ。我は火の神に戦を始めないように、言ってくる」
「父上がお逃げください。私は隼人族に嫌われています。もしも、隼人族に見つかったら民まで、やられてしまいます」
神楽弥は隼人族との戦などで貢献したため、隼人族に嫌われていた。
「わかった。我が民を守る。お前は火の神を説得してきてくれ」

「では、お気をつけて」
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