愛すと殺すと
千晶のライバルを努めるにあたって

◇◇◇


「はい陽、あーん?」

「あーん」


時刻はお昼、場所は飼育小屋前である。


上の頭のおかしい会話は、大体予想通りの事をしている真っ最中を意味する。


この学校はお昼をお弁当・購買・食堂・抜きから選べて、俺らは主に購買を愛用している。


たまにお弁当、たまに食堂。


抜きは午後に関わるので滅多に利用しない、てゆーかしたくない。


「おいしーねー」

「ん、まあ」

「でも、千晶は陽のご飯が一番好き!」


購買で買ったメロンパンをちぎって、しきりに俺の口に「あーん」してくる。


「コロッケパンも頂戴?」


「……」


え。

コロッケパンをちぎって、「あーん」?


「えと、どうすれば…」


迷ってると。


「んぐ」


「お、おー!なるほど!」


手に持っているコロッケパンに、自らの唇を持っていって、加えた。


なるほど、その手があったか!


うむうむと感心してる俺をよそに、あむあむと口を進めていく千晶。


なんか変な生き物みたいだ。
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