君といる幸せ
「あら、遅かったわね」
「こいつら、外で話をしていたんだ。俺が行かなきゃ、いつまで外で話をしていたんだか…」
「まぁ、そうなの?」
「そんなことより…、花菜。退院おめでとう。見舞いに行けなくて、すまなかったな」
「ううん、創くんから聞いたよ。パパもママもお弟子さんと一緒に地方に行ってたんでしょ?お仕事だし、仕方ないよ」
「花菜…」
花菜の母親である千裕は、娘の言葉に胸を痛めていた。
何故自分達は娘のピンチの時に限って、大切な仕事とはいえ側にいてあげられないのだろうと、後悔の表情をしていた。
そんな母親の表情を敏感に察知したのは、長男である創だった。
「まぁ、お袋もそんなに自分を追い詰めんなよ。花菜だって倒れただけであって、別に命に別状があったわけじゃないんなだからよ」
「でも…」
「それより、奏大。今日は例の件を話に来たんだろう?」
「…あぁ…」
「例の件とは何だね?」
「来週の土曜日のパーティーの事で…」
「あぁ。大樹から連絡を貰っている。そのパーティーで2人の婚約発表を一緒に行うんだろう?」
「はい…。報告が遅くなってしまい、申し訳ありません」
「創からも話を聞いているし、親として無責任なのかもしれないが、反対はしない。奏大くんが好きなようにしてくれれば良い」
「ありがとうございます」
温かい表情で花菜の両親は奏大のことを見ていた。
そんな2人に、奏大は頭を深々と下げた。