LOVEFATE~理由~

「――ちょっと、仕事で」

そう言うと、
そっか、と俊ちゃんの表情は曇る



私の仕事は、そうやって俊ちゃんを悲しませるもの




「その、頬の腫れも、そう?」


俊ちゃんは私に近付き、
そっと私の頬に触れる




「あ、これは違う」



凄く腫れていると自分でもなんとなく分かっていたが、

触られてそれに気付いた



尋常じゃないくらいに、
腫れている



そう言えば、成瀬社長って空手の有段者だったはず……



本気で、痛かったからなぁ





「俺より、重傷じゃん」


俊ちゃんは手で、
自分の前髪をあげた


おでこがうっすらと、
赤くなってる




「着水の瞬間、凄い衝撃で。
シートベルトしてたんだけど、
前のめりなって」




周りを見ると、

俊ちゃんと同じように
JAN1231便に乗り合わせていたと思う乗客の人達が沢山いた


そして、その家族も



みんな寄り添い合い、泣いたりしている




振り返ると、泣いてる蘭子ちゃんを、
亮ちゃんとお母さんが宥めていて


俊ちゃんのお母さんも、
うずくまり泣いている




< 681 / 728 >

この作品をシェア

pagetop