0<X≦2人の王子様
★本当にヤな奴なのかな?
「もう知らない!!!!!」

そういって

吉田さんは
泣きじゃくりながら、

走って準備室から
出ていってしまった。


(真行寺の言い方
ひっどいなあ………)


吉田さんが出ていくと、
とたんに静寂が訪れれた。


しばらく沈黙が続き、

彼女ももう
戻ってくる気配もないので

私が
もう帰ろうと
思った、そのとき――


「ハァ―ッ…………」

突然聞こえてくる
盛大なため息に、

私は驚いて身構えた。

そのまま動けずにいると

真行寺蓮は
一人、ぽつりと呟いた。


「気まずいんだよ……」


(は???
何言ってんの、この人……)

続く真行寺の独り言。
「昨日の今日で…」


そこで私はやっと
ハッとした。


(そうか、昨日吉田さんに
告白されたばかりだから…

気まずくて
そっけなくしちゃったって
ことか……

でもなあ………
言ってることは
吉田さん正しかったし…)


すると突然鳴り響く、
6時を知らせる鐘の音。


(やっばい!!!
もうこんな時間!?

親うるさいから
はやく帰らないと)


と思い、
菜花(=私)が立ち上がった
次の瞬間。



「くっ!!
いっ…て…」

突然の唸るような声に
菜花は驚き、

慌てて隣を覗いた。




するとそこには
右腕を抑えて苦しむ

真行寺蓮の姿が――――
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