遠くへ行く君、見送る私







「好きだったの」





 いうなら今しかないと思った。





「いつからか、誠二のこと、私好きだった。それが、言いたかったの」






 ちゃんと聞こえただろうか。わからない。扉がしまるのと重なった。
 
 出発するために動く電車に私は一歩、歩く。驚いたような顔をした誠二が入り口にまだいて、こちらを見ていた。いつもなら馬鹿か、といわんばかりのからかった顔をして見るのに、今はどうしてそんな顔をしているのだろうか。私の告白が、そんなに驚いたのだろうか。

 驚いたのだろうな、やっぱり。
 言いたいことを、言った。

 道は長くない。
 私は途切れた道で、一人歩くのをやめた。言いたいことをいったから、何だかすっきりしていた。


 白い息をはきながら、ドラマなんかでよくやるみたいに、もう見えないだろうが手を上げて大きく何度か振って見せた。




  《遠くへ行く君、見送る私》





 バス時間までまだあった私は、コンビニにいた。冷えた体のまま時間を待つのは嫌だった。そんな私の携帯が音を鳴らす。「言うの遅えよばーか」と一言、誠二からのメールにわき上がる何かがどうしようもなくて。

 まわりを気にせずガッツポーズをしたくなるくらい嬉しかったのは、誠二にはまだ秘密だ。








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