桜まち 
え? 本当に?!





  ―――― え? 本当に?! ――――





お隣の望月さんが引越しをしてから、二週間ほどが経っていた。
部屋のクリーニングもすっかり済み、そろそろ新しい入居者がやって来てもいい頃だと思う。

お祖母ちゃんに次の人はどんな人か訊ねたけれど、ふふふ、なんて女学生みたいな笑いを零しただけで教えてくれなかった。
何をもったいぶっているんだろう。

そんな話を土曜の午前中から、私の部屋で櫂君へと話していた。

何故櫂君が、土曜の朝から私の家に居るのかといえば。
金曜日の会社が終わる頃、櫂君から突然土曜日にランチのお誘いを受けたからだった。

だったら、家じゃなくて外で待ち合わせ、と思うのが普通だけれど。
櫂君が、早めに行ってもいいですかというので、特に断る理由もないのでオーケーしたわけ。

ただ、私は自覚症状ありありになっていたから、そのお誘いに内心ドキドキしていたんだけれど、当の櫂君はいつもと変わらず。
あのラーメン屋さんに行きましょう。なんて意気揚々と提案していた。

自分の気持ちに気づいたとはいえ、それを櫂君へ伝えたわけでもないのだから当たり前か。

そういうわけもあって、早朝からやってきた櫂君に、お昼までの時間潰しのように私の部屋でお隣さんのことを話していたわけです。

「変な人じゃないといいんだけどなぁ。まー、お願いしている不動産屋さんは、お祖母ちゃんと昔っからの知り合いだし、人を見る目もあるとは思うんたけどね」

若干の不安を覚えて櫂君に話していると、インターホンが鳴った。

「ん? 誰だろう」

私が立ち上がると、櫂君も後ろをついてきて一言。

「多分、僕にです」
「え?」

何で櫂君に?
ここ私の家だよね?


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