コイツ、俺の嫁候補。
仲間に揉みくちゃにされて、爽快感溢れる笑顔の那央。

彼はこっちの観客の方を向くと、したり顔でぐっと握った右手を掲げてみせた。


さらに盛り上がる女子を尻目に、“したり顔でファンサービスするな”と、あたしは心の中で文句を言う。

一応彼女はあたしなんだからね!

と、想念を込めて那央と女子達を見ていると、一人の女子があたしに気付いた。


──あ、この子、去年教室であたしの悪口とか那央の進路のことを話してたリーダー格のギャルだ。

彼女はギロッとあたしを睨みつけ、一言。



「彼氏に夢中になってないで、自分のクラスの男子応援したら?」



なぁにぃーー!?

カチンときたあたしは彼女に言い寄る。



「今それがないからここに来てんじゃん! 彼氏を応援して何が悪い!」

「きゃーコワーイ。皆殴られる前に逃げた方がいいよ」

「この性悪女~……!」



拳を作ってわなわなと震えるあたしを、「縁、抑えて抑えて!」と言って取り押さえる舞花。

そんなあたしを、ボスギャルは意地悪な笑みを浮かべてあざ笑っていた。

なんてムカつく女なの!

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