コイツ、俺の嫁候補。
お父さんはあたしが小学四年生の時に事故で亡くなった。

元々消極的で内気だったあたし。お父さんがいなくなった時はもちろん悲しかったし、寂しくて何度も泣いた。

でも、同じ気持ちのはずなのに一人で頑張るお母さんの姿を見て、そのうち“自分がしっかりしなきゃ。強くならなきゃ”と思うようになったんだ。


それからだ、あたしが男みたいにサバサバした性格になったのは。


弱い者イジメする奴には、男も女も関係なく立ち向かうようになったし、イジメられそうになった時は逆にケンカを売っていた(そして相手を泣かすまでやめない)。

ケンカする時に邪魔だからとスカートはほとんど履かなかったし、昔はお人形のように伸ばしていた髪の毛も徐々に短くなって、今やボブが定着してしまった。

小学生時代のあだ名は……思い出したくもないけど“ゆかりごはん”だったっけ。


そんな可愛げのないあたしは、高校入学をきっかけに少し“女”というものを意識するようになった。

その理由は。親友以外には絶対に言えない、単純でこっぱずかしいものなんだけど。

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