小春日和の恋
「あのっ、コレ!!」

 部活へ向かう彼の大きな背中に向かって、小箱を差し出した。

 大きな箱だと目立って、学校中の噂になりかねないから。

 人目のない場所で、さっと渡せばきっと……この想いは彼にだけに届くはず。

「あ……? ああ」

 彼はぼそっとそれだけ呟くと、わたしの手のひらにある小箱をひょいっと受け取った。

 チョコとわたしの想いが詰まった小さな箱は、彼の学ランのズボンポケットにスッと吸い込まれた――。




 わたしの想いは彼のポケットに入れられたまま、静かに消えていった……。




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