桜が咲く頃~初戀~
『.........。圭君、こんな田舎でも圭君が帰って来る場所はここや忘れんとな』

その言葉をおばぁちゃんは言った後熱いお茶を1口啜ると更に圭亮に話を続けた。


『圭君は奇跡って何やと思うとるね?奇跡ってもんは突然その人の気持ちに無い素晴らしく良い出来事が起きるんと違うでな。奇跡はな今迄のその人が生きて来た道のりで心が経験した事や色んな想いをした事が折り重なってその人の気持ち、つまりやな心の中で自分で起こすもんやで。誰かや、神様なんぞに与えて貰っとるもんや無いと言う事や。自分で起こしとるのが奇跡や。つまりな、こうなりたいと強く想い願うと気持ちがその様な道を作り自ずと進み出す。そのまま願い想い進み続けられた誰でもが行き着く先に奇跡があるんやで。圭君、サイダー飲むかね?』


そう言っておばぁちゃんは冷蔵庫から三ツ矢サイダーの瓶を取り出し圭亮に渡しながらまた話を進めた

『それをな、願った事すら日々生活しとったら忘れてしまう。何故やと思うね?』

そう言っておばぁちゃんは圭亮をじっと見つめてからニッコリと笑った。


『よく分からん』

と圭亮は応えると奇跡の話の前におばぁちゃんが話した「井の中の蛙大海を知らずされど空の高さを知る」の話しをもよく理解出来ていない頭を悩ませた。

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