桜が咲く頃~初戀~
『あの!あの。この間はありがとう。もう会えないのかと思っててん』


とコトダマに声をかけた香奈に

『ドウシテ? モウ アエナイト オモッタノ?』

と聞いた。香奈は少し考えてから

『よく、分からないけど。あの日は夢とか見ていたんかなぁとか思った』

と少し申し訳無さげに呟いた。



『ナルホド…ボクハネ ココロノコエノ イミガ ワカルマデハ ミエナインダ ボクハ イツモ カナ ガ ミエテイタノニ』

と言うと少し拗ねたような顔をしてからにこにこと笑いゆっくりと座っていた枝から立ち上がると
上に向かって登り初めた。


『あっ!ちょっと待って!』


と、香奈は両手を伸ばしてコトダマを呼び止めた時、圭亮は香奈の右手を掴んで首を左右に2度振ると下に下ろさせた。

『ジャアネ マタネ』


とだけコトダマは言うとするすると枝を伝い桜の樹から消えた。

『なぁ、圭亮君。どういう事なん?』

と香奈が圭亮に問いかけると圭亮は香奈の左胸を右手の人差し指で指してから『こういう事』と言った。




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