ストレイ・キャット☆シュ-ティング・スタ-
流れ星に乗った子猫
 時計の針は午前五時を回っていた。

 ぼくと久留美は抱き合ったまま、一瞬の間、ソファーの上で眠っていたようだ。窓の外の暗闇は、すっかり姿を変えて、うっすらとした意識の中に光の帯が差し込んでいた。

 照れ臭さも手伝ってか、会話もなしに洋服を着るふたり。いつの間にか、部屋中に溢れ返っていたちいさな星たちは姿を消して、いつもと変わらないリビングの風景。

 プラズマワイドTVはすでに砂嵐を映し出し、ふたりはそれすらもわからないくらいに熱く、深く重なり合っていたのだ。

「二本有るかなぁ?」

 久留美が持っていたメンソールの煙草を、ふたり分け合って火をつける。


 時間がゆっくりと過ぎてゆく。


 久留美とぼくは、ふたたび熱いKISSを交わした。


 妻が居ながらにして、自分の欲情を抑え切れなかったことに後悔の文字はひとつもない。それは同じ痛みを背負った者同士が出逢ってしまった結果だからだろうか?

 その痛みたちがぶつかり合って創り出された宇宙は果てしなくも広く、飲み込まれそうになるほどに深くて……


 瞬きも出来ないくらいに美しかった。
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