変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
いや、分かるはずなんて無いはずだ。
自分の今の格好を思いだせ…
黒の長着と袴を着て、右腰には父様と母様の形見である2本の刀が挿してある。
髪だって一つに髪紐でくくっている。
…どうしてだ……?
「お、おいっ!!
刀から手を離せって!な?」
無意識に刀の柄に手が触れていた。
が、そんなことを言われても話せる状況ではない。
「一度、お店の奥へ行きましょう、ね?」
百合と呼ばれた女は俺の手を持ち、腕を引っ張って行く。
俺はされるがままに女に付いて行く。
「店の接客は……どうするつもりだ」
「ん?それなら、巧がやってくれるわ」
ニッコリと笑って同意を求めるように微笑んだ。
「フッ、さっきは悪かったな。百合とゆっくり話してこいよ」
その言葉を聞いてまた百合…さんは歩き始めた。
―――――
店の奥へつくと百合…さんは、お茶を出した。
「さっきはごめんなさいね?巧も悪気があったわけではないのよ」
…そんなことは俺には関係のない。
そもそもあんたらの言うことは信用性が何も無い。それが分かっている今、その言葉の何を信じろと?
「さっきの言葉を信じてないのね?
まあ確かにそうよね、今日初めてあった人だもの」
初めてでなくてもそうだ。
それに俺は………
「そうだわ!」
パンと手を叩くと立ち上がった。