上弦の月
なんだか心がむずがゆい。
そうやって優しくされたことがないわたしにはどうすればいいかわからない。
ひたすらポーカーフェイスを作るしかない。
なんてわたしは不器用なのかな。
愛情がない親なら子も子だよね。
マンションのエントランスに来ると遥歩さんは鍵を取り出し慣れた手つきで開けだした。
「知り合いのマンションも同じ感じなんだ。さ、入ろうか」
「はい」
知り合い?
合鍵を持っているって事?
やっぱり彼女いるんだね。
男は好きじゃなくても抱けるって言うし、わたしなんてただのガキだと思ってるんだ。
わたしは良くても彼女には悪いな・・・。
「どうしたの?」
「え・・・?」
「乗らないの?」
「・・・あ、すみません」
いつの間にかエレベーターが来ていて最上階の46を押した。