アルバイト執事にご用心
偽彼氏の思惑
その日、クレアはスレダとともに家へともどった。

しかし、ゼイルは出張中でスレダには会えずじまいだった。


翌日の夜・・・ゼイルは夕飯時にクレアに声をかけた。


「なんか、昨日と今日連続で男性と帰宅したらしいじゃないか。」


「え、ええ。」



「学校の先生かい?でもおかしいな。アベルだって俺たちが結婚したのは知ってるから、君の大学の先生ならみんな俺たちが結婚してることくらい知ってるはずなのにね。」


「あ、彼はべつの大学だから。」


「べつの大学の男がどうして自宅まで?」


「だから・・・その、2日前に貧血で倒れてしまって・・・それで助けてくれたの。」



「なっ・・・どうしてそんな大切なことを俺に言わない?」


「だって、お仕事忙しそうだったし、心配かけたくなくて。」


「心配くらいするさ。で、倒れてどうだったんだ?」


「大学の医務室で休んで・・・それだけ。
心配してくれた彼が今日も送ってくれただけで・・・。」



「明日は俺が送るから、送りは必要ない。」


「えっ。だってお仕事が今、忙しいんじゃ?」


「俺が口を出すべきところは終わったから、心配ない。」


「そう。じゃ、明日はお願いね。」



「わかった。」



翌日、大学の正門前で、クレアはスレダに声をかけられた。

クレアはスレダの言ったとおりだったと話した。

スレダは笑って、検診や母親教室の書類をクレアに手渡した。


「ありがとう。病院とかどうしようかと思ってたの。」


「いや、当院は親切丁寧をモットーに妊婦さんひとりひとりを大切に、元気な赤ちゃんを授かってもらってますから。なんてね。
親父の宣伝文句なんだよ。あれ、じいさんだっけかな?まぁ代々ってことだな。」


そこにゼイルの運転する車が到着して、ゼイルはすばやくクレアの手をひっぱると車に乗せて発進させた。


「ちょ、ちょっとゼイル・・・いきなり危ないじゃない!」


「うるさい。君こそ、もう助けてくれた男と会わないといったくせに。」


「だってしょうがないでしょ。産婦人科の御曹司なんだから!」


「えっ”!?」



キキッーーーーッ!!
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