記憶 ―黄昏の蝶―
「……リュウ、何故ここに居るんじゃ…。聞いていたのか?」
幼い俺は頷く事すら忘れ、じぃさんを見つめ返した。
「…父さん、『光の子』って何の事?さっきから…父さんたちは何を言ってるの?」
ただ、
自分が何者かを知りたかった。
知っているのなら、教えてくれたっていいじゃないか。
何故教えてくれない…
俺はこんなにも長年苦しんできたのに。
「……お前さんが成人するまでは、黙っておくつもりじゃったんだがの…」
じぃさんは1つ溜め息をつくと、困った様に入口の扉を見た。
ジークがその扉を開けると、息を飲む2人の姿があった。
「…2人も聞いていたんじゃろ…。入りなさい。2人にも話しておこうかのぅ…」
俺たち3人は手を繋いだまま、
じぃさんの話をじっと聞いた。
それは…、
俺たち子供には想像もつかない様な、信じられない話の内容だった。
「…それが何?リュウちゃんは『リュウちゃん』でしょ?」
「そうよ。ちょっとアタシたちとは前世が変わってるってだけだわ。」
ただ、理解が追い付いていなかっただけだろうと今は思うが、この時の俺にとっては2人のこの言葉が支えとなった。