わたしをみつけて


私は迷っていた。
声をかけるべきかかけないべきか…。


メールの事で頭がいっぱいで、声をかける気満々だったのだがいざとなるとやっぱり尻込みをしてしまう。


運の悪いことに今林さんと美島さんが一緒にいるのはクラスの中で比較的派手で目立っている人達だった。
勿論、私は話したことが無い。


どうしようと悩んでじっと見ていると、グループの内の一人に気がつかれてしまった。

声をかけるつもりだったのだから気がつかれていいのだが、やっぱり怖くて目をそらしてしまう。


でもこれはチャンスだ。
これは逃したら林さんにはもう声をかけられない気がする。

手をギュッと握りしめ、勇気を出して林さんのグループへと近づいた。


「ああああ、あの、林さんと美島さん、ち、ちょっとお話があるので来てもらえましぇんか…」


グダグダだった。
緊張しすぎて声は震えて小さく、おまけに噛んだ。思いっきり噛んだ。
顔が熱い。
きっと今私の顔はリンゴの様に赤くなっているだろう。


「間宮さん、だよね?
あのさぁ今うちらお弁当食べてんだけど。見て分かんない?
何の話しか知らないけどさ、空気読んでよね」


一人が心底鬱陶しそうな顔で私を見た。
残りの三人は馬鹿にしたかのようにクスクスと笑っている。


顔が更に熱くなった。


「ご、ごめんなさいっ」


慌ててその場を離れようと後ろを向いて、


「いいよ。行ったげる」


その言葉で再び振り向いた。



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