正義のヒーロー
ベタなヒーロー



夏の日差しが迫りくる中、俺は出会った。
逆転満塁サヨナラホームランをかっ飛ばす―――


ヒーローに。



「あの……」
「どうした、少年」

「なんでついてくるんですか?」

俺より二・三歩下がったところから、上半身黒ずくめジーパン下駄野郎がついてくる。


こいつがヒーローと名乗り、ホームランを打ったのは、約二十分前の出来事。
ホームベースを踏んで俺に向かって指を指した時は、一瞬見とれてしまった。
うっかりヒーローかもしれないと思ってしまったのだ。


しかしよく考えてみよう。
自分でヒーローと名乗るやつを、あっさり信じていいのか?

別に悪い人には見えない。
だが、怪しいのだ。

まずはもうすぐ夏休みというこの暑い時期に、黒の長袖をきている。
少し偏見かもしれないが、黒は悪っぽい。
ズボンはストレートだが、丈が異常に長く、裾が皺くちゃになっている。
そして最後に、使い古された下駄。

ラフな格好に見えるが、季節感がまったくない!
下駄だけみれば夏っぽいのだけど、後は明らかに秋か冬だ。

< 25 / 59 >

この作品をシェア

pagetop