キスキすき






「なんで、キスするの?」



もう



何度も聞いた




「なんとなく」



そう



特別な意味はないの



あたしが泣き止むおまじないと


洸紀のきまぐれ




洸紀はあたしのことどうも思ってない




好きじゃない


それも、わかってる





気づいたときから、あたしのこの恋の名前は




失恋





それでも




「麻美」



好き







「ほら、行くぞ」



そう言って洸紀はあたしの部屋を出て行った




きっとリビングで朝ごはん食べてる



あたしを待ってる



いつも朝は一緒に学校に登校するんだ





別に、あたしは洸紀と一緒に住んでるわけじゃない



洸紀にはちゃんと自分の家がある


洸紀の家はあたしの隣




だけど朝起きると洸紀はいつもあたしの部屋にいる



そしてキスをする




幼馴染だからって勝手に人ん家の、あたしの部屋に入ってることもおかしいけど



親も、もうあたりまえで何も言わないことも




それどころかきっと今も、リビングで洸紀と楽しく話してるんだ





本当におかしい


あたしの家も




洸紀の家も









小さい頃から



洸紀はキスのこと、なんとも思ってない




だけどあたしは



好きだから




何回やっても、本当はまだ慣れない



ドキドキする




それが、いつもバレないように必死で



でも、きっと洸紀にはバレてる



洸紀にあたしの嘘や隠し事はきかない




けどたぶん、洸紀はあたしが『キスという行為』にドキドキしてるとしか思ってない




そんなあたしが面白くて、キスをするのかもしれない




いつも、あたしの考えてることすぐわかっちゃうくせに




あたしの洸紀に対するこの気持ちだけは



全然気づかないんだから






< 4 / 23 >

この作品をシェア

pagetop