美しき彼女
彼女が僕の名前を呼ぶ。
僕はその声が好きだ。
少し高くて澄んでいて、心に沁み込み、包み込むような声。
彼女は色々な話をしてくれる。
学校のこと、友達のこと。
愚痴の時もあれば、楽しげに話すこともある。
彼女は嫌なことがあったら甘えたような声で僕の名を呼び、話し始める。
そのとき、僕はあまりにも無力だとことごとく痛感する。
慰めてあげることもできない。声をかけることもできない。
ただ黙って、彼女の声に耳をかたむけることしかできない。