100魂
"死神"と"少女"


『人間にも"初めから"空気穴があれば良いのに。』って、時々思う。
そうしたら、溜め込んだモノを"こんな形"で出さなくても済むのになぁ…


カシャンッ…


「あっ…ヤバッ、今回はやり過ぎたかも…」


私は急いで床に落ちた貝印の剃刀を拾いあげた。


カシャンッ…


「………ダメだ…深く切りすぎた。手に力が入らない。」


私は仕方なく剃刀を拾うのを諦め、止血をする事にした。


もう何度目かわからない自傷行為。
止血作業も、随分と手慣れたものだ。
最近では、深く切りすぎて今みたいに手に力が入らない事も珍しくはないし、目眩を起こす事も増えてきた。


『心臓に負担かかってんのかな…』


とか、どうでも良い事を呟いてみた。


別に手首を切って死のうとは思わない。
死ねたら死ねたで嬉しいのだが、結果はどうでもいい。
"ただ切りたいから切る"
それだけ。
この手首の傷は、私の"空気穴"となる。
ここから日々溜め込んでいるモノが流れ出て行く気がして、いつの間にか切る事に快感を覚えていた。


「なんか、眠っ…一応止血はしたし、寝よっかな…このまま目が覚めなかったら笑えるのに。」


そんなくだらない独り言を言って、私はベッドへと身を沈めた。




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