私とねこ [短

その後

母side

咲夜が死んでから2年がたった。

犯人は捕まった。

咲夜の遺体は、腕が直視できないほど傷つけられていた。

犯人は隣の家の長男だった。

何度か咲夜も言葉をかわしたことがあった。

殺人の動機は、それはそれは腸が煮え繰り返るような理由だった。



殺して見たかったから。




だから近くにいる咲夜を狙ったのだろう。

しかし、発見された時犯人は泣いていたという。

家の近くの林で見つかった。

泣いていた理由を聞くと、こう答えた。

「信じてくれないかもしれない。でも、僕は見た。僕は、猫が喋れないのは分かっていた。でも、怖くてその猫も殺そうと思って、猫を抱きしめている咲夜ちゃんの腕をさした。けど離さなくて。死んでるはずなのに全然離れなくて。怖くて…ふと猫を見たら、血まみれの顔でこっちをじっと見ていて。もっと怖くなってもっと腕を刺した。でも離さなかった。離れてくれなかった。その腕はずっと猫を抱きしめてた。それでもう一度猫をみた。そしたら…泣いてた。目から涙を流してた。人間と同じように。そしたら、僕はなんてことしてしまったんだろうって思って…猫が泣くなんてあり得ないのに…。」


少年にくだされた判決は軽いものだった。

まだ未成年ということもあった。


この事件は解決したが、我が家は元通りにはならなかった。


ハクは今でも生きている。

だが、前ほど動かなくなった。

ご飯を食べたり水を飲んだりする以外は、1日を玄関で過ごした。

いつものように咲夜の帰りを待っているのだろうか。

二度とは帰らない咲夜を…。
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