戦乙女と紅~呪われの魔槍の章~
乙女が驚愕の表情を浮かべた。

「信じられぬ…風に例えられる紅の攻撃をも防ぐのか…」

俺も同様に驚いていた。

速さにはいささか自信があったのだが、死神の速さは俺をも上回っている。

「どうした、最早攻め手を失ったか!?」

死神は横薙ぎで鎌を振る!!

素早く回避行動に移る俺と乙女。

大振りの攻撃の割に、死神には隙がない。

攻撃直後を狙おうとするものの、すぐに死神は体勢を立て直している。

「同時に仕掛けるぞ、紅!」

「応!!」

乙女の袈裟斬り、俺の払い。

呼吸を合わせた同時攻撃!!

それすらも。

「無駄だ」

剣を鎌で、槍の柄を素手で受け止める。

…鉄壁の防御。

死神には付け入る隙が見当たらなかった。

「私は貴様らには負けぬ。貴様らに負けるという事は、私の生き方そのものも否定されるという事だからな」

鎌を担ぐような姿勢で、死神は笑みを浮かべる。

…俺と乙女は距離をとり、歯噛みした。

真正面から挑んでいては、この女には勝てそうにはなかった。

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