狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~




俯いていると三篠が何か思い出したのか、あ、と声を出した。




何だろうと思って顔を上げると、三篠と目が合う。




「…小雛、たまには人間界に戻るか?」




三篠の言葉により思い出す、人間界のこと。




そういえばお母さんとか来海や大地、おじいちゃんはどうしてるかな。
璃々音と亜子も元気にしてるのかな。




そう思えば思うほどにみんなが恋しくなってくる。




「…戻りたいかも。こんなに離れてることなんてなかったし」


「そうか。小雛の体調も問題なさそうだし、一度人間界に行こう」




三篠もアッサリと認めてくれて、私は一度人間界に戻ることになった。




でもどうしよう。
無断で家に帰らなかったことなんてないし、友達の家にお泊まりなんてしたことないからお母さんと会うのが怖い。




それに学校にも行ってない……!
無断欠席になって学校が家に電話とかしてたらどうしよう……!?




そう思うと人間界に帰りたくなくなってきた。
もういっそ妖怪の世界(こっち)に隠居してようかな…




色々と考えてると三篠が背伸びをしながら、また何かを思い出したように話した。




「…あ。小雛の学校のことだが、紅葉が小雛に化けて通わせておいたから問題ない。
家でも小雛として過ごしてる」




それを聞いてホッとした気持ちと、申し訳ない気持ちが私の中で葛藤していた。




というか紅葉はまだ会って日も浅いけど、私になりきれるのかな?




この疑問が解決するのはしばらく後の話。



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