狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~
第三ノ書




また夢を見た。
でも前とは違う夢。




一面真っ白の空間にいるのは、女性と思われる人。




視界がぼやけてよく見えないけど、白髪に紅い眼をしているのが分かる。




『…ほほう。主はあの半妖を妖王に選ぶのか』




その人の表情は分からないけど、ふっと笑う声が聞こえた。




…選ぶ?どういうことなの?




そう声に出して聞こうと思ったけど、声が出せない。




『…クククッ。これは面白いことになりそうじゃな。
純妖の妖王を捨て、混妖の妖王を選ぶとは。主も中々に変わった奴よの』




女性はふっと笑って私に背を向けて、歩き出した。




ちょっと待って!どういう意味か教えてよ!




手を伸ばすけど、女性に届くはずもない。




すると女性は足を止めて、また私の方を振り向いた。




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