Amarosso~深い愛~の作り方♪
2.出会い

   *

それはある高等部の文化祭だった。

数か月後だというのに、今泉怜士(いまいずみ さとし)は、いまだに受験する高校を絞り切れていなかった。

どの難関校にも問題なく受かるとはいえ、多くは金のかかる私立校だ。

最難関の国立大付属校に行って、国立大学を受験、というのが一番妥当だと思っていた。

いくらなんでも、育ての親にそこまで負担はかけられない。

当の本人たちが、生まれた時に自分たちの子は死産で、擦り換えられたことを知らず、実の子だと思っていても。

それでも迷いがあったから、友人の誘いに乗って、ある学校の文化祭に行った。

友人の狙いは、お洒落で可愛い子が多いからだけだろう。

それは志望校を決断するために行く怜士にとって、どうでもよかった。

大抵において、女に興味がなかった。

互いの要望が合致した時だけでいい。
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