きっともう大丈夫
「やっぱり・・・沙希はここで働いていたんですね。」
一海が店に入ると明良が自信たっぷりな口調でつぶやいた。
「何でそんな事わかるんだ?」
「アレンジでわかる。沙希に花を教えたのは俺だから・・・」
明良は懐かしむようにつぶやいた。
「・・・沙希ちゃんはうちで働いてるよ。開店当初から・・」
「沙希は・・・元気?」
「ああ・・・元気だよ。」
「・・・再婚は?・・・・」
「してないが恋人はいる・・・だから明良が気にすることは何もないよ」
一海の言葉に明良はただ頷いた
「そう言う明良君は?奥さんと子どもは元気?」

数秒の沈黙の後明良は重い口を開いた
「いないよ。」
「どういうことだ?」
「菜々美は・・・・もうこの世にいないんだよ。」
一海は驚きを隠せなかった。
「いないってどういうことだ?!」
声を荒げてしまった。

「交通事故で・・・・」
明良は感情のない口調で淡々と語り出した。

「菜々美とは沙希の事で口論が絶えなかった。
結婚して子供いるのに自分を愛してくれないとね。
そんなのは・・・ただの菜々美の思いすごしでさ・・・・・
でも俺の愛情が足りなかったのか・・・・俺たちが不器用だったのか・・・」

一海はだまって明良の話に耳を傾けていた。
< 107 / 137 >

この作品をシェア

pagetop