きっともう大丈夫
ハルはすでに待ち合わせ場所いて、私の顔を見るやうれしそうにしていた。
「ごめん遅くなった」というが彼は終始笑顔だった。
車に乗り込むと
「あー!俺女の人の助手席って初めてだ!」
とテンションが上がってるのがよくわかる。
私は動くよというと車を発進させ、動物園へと向かった。

車で約1時間の所にある動物園は土曜日という事もあり
9時の開園というのにもかかわらず駐車場もほぼ満車だった。
私たちは運よく駐車する事が出来たのだが園からずいぶん遠くなった。
「ごめんね。まさか駐車場がこんなに遠くになるとは思わなくって・・・」
「ぜんぜんいいです。荷物持ちますよ貸してください」
そういってハルは私の持っていたバッグを持ってくれた。
「店長さん・・・これなんすか?重いけど」
「あー。これお弁当」
するとハルは急に目を輝かせ
「まじ?まじでお弁当?手作りなんですよね。やった!テンションあがる~」
かなり上機嫌になってた。
でも・・・動物園に来てまで私の事を店長って言うのはどうよ。
それにもう・・・私は店長ではない。
みんなには内緒だからしらないんだけどね・・・
「ねえ。ハル君」
「はい?」
「その・・呼び方なんだけど、ここ動物園だしさー。店長はやめない?」
「あっ。そっかー・・そうですよね。じ・・じゃあ、沙希さんでいいですか?」
「うん。いいよ。」
「じゃあー沙希さんは俺の事ハル君じゃなくてハルって呼んでください。」
真っすぐ背筋を伸ばして言うもんだからなんだか笑えて来ちゃった。
「うん。じゃあーハル・・」
「沙希さん」
・・・・何?このちょっと初デート的な会話は・・・って一応初デートではあるんだよね。
そして私たちは動物園の門をくぐった。
< 12 / 137 >

この作品をシェア

pagetop